小説をほとんど読んだことのない人間の読書感想文です。温かい目で見ていただければ幸いです。本好きの方から、おすすめ作品も教えていただけるとうれしいです。
まず、我が家と本のかかわり方についてさくっと説明させてください。
私は子どもに本好きになってほしくて、ほぼ2週間に1度、図書館に足を運んでいます。2人分の利用者カードで20冊借りられるので、子ども2人は7冊ずつ、私は6冊借りています。
ただ、私は文章が長い本を借りても、読まずに返してしまうことが多く、特に最近は料理やインテリアなど、写真多めの本をさらっと見て終わりになっていることが多くなっていました。子どもを本好きにしたいなら、まず親が読書しているところを見せるとよいと聞くので、分厚い活字いっぱいの本を読んでいる姿を子どもに見てもらって「お母さんすごーい!」と言われる妄想しています。
小学生の長男は「ほねほねザウルス」シリーズ、「ようかいとりものちょう」シリーズが大好きで、我が家で一番本を楽しんでいます。幼稚園生の次男は「ノラネコぐんだん」シリーズが好きで、あとは「うんち」と名の付く絵本は無条件で借りるタイプです。2人とも気に入ったものを何度も読みたいタイプで、「それもう読んだじゃん」とつっこみたいところをぐっと我慢しています。本当に何度も読むものは購入しています。私も大好きな漫画は死ぬほど読み込んで、セリフとかブツブツつぶやいていたので気持ち分かるぞ。
小説を読みたくなった私が、まずはじめにふと手に取ったのが「JR上野駅公園口」という本でした。読んでみると、これが全く初心者向けではなく、大変衝撃的な内容でびっくりしました。最初から最後までめっちゃ暗くて重いのです。とっても悲しい気持ちになって、読むのがつらくなるのですが、なぜか最後まで読めてしまいました。こんなにつらいのに、最後まで読めたのはなぜなんだ?と自分でも分からず、作者の柳美里さんが気になってしまって、他にどんな本を書いているのだろうと思い、「ねこのおうち」を手に取りました。
前置きが大変長くなりましたが、「ねこのおうち」は公園に捨てられた猫が6匹の子猫を産み、子猫たちがどうなっていくのかを書いた作品です。冒頭で、美しい飼い猫が産んだ子猫のうち、見た目が気に入らないという理由で、飼い主の女性が夫に1匹の子猫を公園に捨ててくるよう指示します。私は本のタイトルから、今度こそは可愛くてほんわりした話が読めるのかなと思っていたのですが、いきなり不穏だったので、ああ、やっぱりこの作者さんは明るいだけのお話は書かれないのだな、と感じました。色々な価値観(猫好き、どんな猫でも平等に可愛がる、血統書付きの美しい猫だけが好き、猫嫌い)や境遇(家族の死期が近い、認知症、親の離婚、家族の引きこもり)の描写がリアルで、実際にこういうことってあるんだろうなと思わせるシーンが多く、とても考える要素が多かったです。
特に心に残った登場人物が、母子家庭で虐待されているのではとうわさされている正樹君です。実際にはお母さんのことが大好きで、お母さんも通常モードでは愛情深く正樹君と猫の「サンタ」を育てています。しかし、こんなシーンがありました。お母さんのことを悪く言ったクラスメイトをつき飛ばしてしまい、けがをさせたことで、相手の家族から苦情をもらったとき、正樹君にも言い分があったので自分は悪くないと主張します。するとお母さんが「(正樹君のことを)産まなきゃよかった」「うそつき」などとののしり、吸っていたタバコを正樹君の映っている鏡に押し付けるという場面です。ここでは、「誰に似たの」というお母さんのセリフから、正樹君ではなく元夫への憎しみが垣間見えたり、母親が家を出た後にタバコの吸殻を淡々と片づける正樹君の様子が、そのお母さんの悲しみをすべて飲み込んで、自分が我慢すればいいんだという諦めのようなものを感じて、読んでいて胸を締め付けられました。正樹君が学校を休むと「また虐待されているのでは」という噂が立ちます。しかし実際は、正樹君はよく風邪をひく(恐らくは、もっと深刻な病気?)のお母さんの看病をしているのです。虐待のうわさがあると、かわいそうな子というレッテルを貼られますが、お母さんと一緒にいる正樹君はとても幸せそうです。依存しているのかもしれませんが、最後、正樹君はお母さんの実家の近くに引っ越していきます。どうなったのかは書かれていません。こういったところも、簡単に幸せになった、不幸になったと決着を付けず、読者にいろいろと考える余地を与えてくれます。
冒頭で猫を捨てさせられた夫が最後のほうに予想外の登場をするところも興味深かったです。重い話も多いのですが、飼い主が猫を可愛がるシーンは共通して穏やかです。猫が人間から理不尽な扱いをされていても、心が通じ合った飼い主をこんなにも癒してくれるんだと思い、その絆をうらやましく感じました。
自分の子どもたちが巣立った後のことを想像すると、夫と猫とのんびり暮らすのもいいなと思った私は、すぐに「猫アレルギー 治し方」と検索したのでした。
ちなみに、全く小説の知識がない私は、タイトルや表紙のデザインを見て、直感で適当に本を選んでいます。次はどんな本に出会えるのか楽しみです。
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